カテゴリ:陶工のつぶやき( 8 )   

スジ引きの技   

2013年 12月 17日

皆さん、こんにちは
今年もあと、半月を切りました。
今日は今年最後の"陶工のつぶやき"です。

今年を締めくくるのは「小原 和枝」さんです。
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染付歴32年の小原さんは"型うち・スジ引き"を担当されていて、次の絵描き職人さんが描きやすいように下準備をする重要な工程です。
【型うち】素焼きの形に作った和紙に絵柄の大体のあたりを木炭の墨で描き、それをこすって素焼きに写します。
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【スジ引き】有田では線の事を「スジ」と言い、絵柄に合わせてスジを引く方法を変えます。絵柄を止める役割や、全体を引きしめるアクセントに、またスジがメインの絵柄もあるんですよ。
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通常の丸い形の器は、"スジ車"という道具に素焼きを乗せ、回転させながら呉須で線を引いていきます。

そして、スジ引きで一番技術がいるのが「手引き」による線引きです。変形型の器はスジ車では引けないため、筆を手に固定させ、手の腹を素焼きの縁にあて引きます。b0289777_14104250.jpg
小原さんの手引きのスジは綺麗で、引くのがとっても早いんです(゜o゜)

小原さん曰く
「2本線の手引きの時は線の幅に注意しています。そして、四角物は角まで一気に引き、花型の物は1本の線に見えるようにつなぎ目に気を付けます。」
とのこと。

絵柄の方が主役になっていますが、スジ1本にも職人としてのこだわりがあるんですね(^_^)

by gen-emon | 2013-12-17 14:46 | 陶工のつぶやき

みさっちゃんの仕事   

2013年 10月 11日

皆さんおはようございます。
久しぶりの投稿です(^。^)

「陶工のつぶやき」7回目
今日ご紹介するのは赤絵の井手美里さんです。通称「みさっちゃん」
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井手美里さんは入社から9年間、下絵付けの濃み手さんでした。その後赤絵場に移り、赤絵の濃みを担当し今5年目になられます。濃みという点では一緒ですが、作業性は全然違います。

下絵付けの、もろい素焼きに絵付けをする作業と違い、本焼きをしているため扱いやすくはありますが、脂分を大変嫌います。もし、脂分が付いていると絵具を弾き、濃みがムラになってしまうんです。窯の職人も窯上げ時には気を使いますが、赤絵の職人さんはゴムの指サック等を付け、直接手脂が付かないようにしないといけません。
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上絵付けの絵具は透光性があるガラス質の有田和絵具で、色は約40種類以上もあります。色によって絵具の質が違うため、特徴を把握しておかないといけません。また色の濃ゆさは、色付けした箇所の層の厚さで調整し、均等に絵の具がのっているかを見極めながら進めていきます。
その後焼成で、本焼きより低い約800度前後の温度で焼いて、和絵具を釉の上にしっかり定着し発色させます。
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みさっちゃんからのコメント
「毎朝窯上がりがあるため、仕上がりを見るのはプレッシャーですが、私が一端を担った商品を使って下さる方がいると思うとうれしくなります。
使うときに気分が上がるような、力強さの中に気品のある絵付けをしたいです。」

何とも頼もしいお言葉です(*^_^*)
今日もまた、お化粧が終わった器たちは窯の中へ積まれていきます。
明日の窯上がりが楽しみですね「みさっちゃん」(^。^)

by gen-emon | 2013-10-11 10:35 | 陶工のつぶやき

干支 製作中!   

2013年 09月 17日

皆さん、こんにちは。
「陶工のつぶやき」6人目。今日ご紹介するのは"小松ふじえ"さんです。

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小松さんの仕事は、鋳込(いこみ)という、陶土で形を作る成形の仕事をされています。
鋳込とは轆轤(ロクロ)では作れない変形もの、掘り文様のある器や置物などを作る時に用いられる成形技法です。

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石膏型泥漿(でいしょう)[液状にした陶土] を流し込み時間をおくと、石膏が水分を吸収し徐々に土が石膏に付いていきます。適した厚みになると、余分な泥漿を排出しある程度乾燥させ型から外します。

急須や置物など、いくつかのパーツに分かれているものは少し湿っている時に泥漿で接着し成形します。これが「排泥鋳込」(はいでいいこみ)といわれる技法の流れです。この方法で急須、花瓶、置物等、袋物といわれる形状のものが作られています。
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今、小松さんは来年の干支である「午」の置物を製作中です。
完成品は後日ご披露いたしますのでお楽しみに(^-^)
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小松さんのコメント
「夏場は、乾燥が早いので接着の時に気をつかいます。自分が成形した器に絵が付き、売り場に並んでいるところを見ると『いいなぁー』と感動しホッとします。絵付けと比べると地味な仕事ですが、やりがいのある仕事です。職場では、みんなが協力してくれるので助かってます。これからも仕事に誇りをもてるよう頑張っていきます。」

これから干支の置物製作に、大忙しの小松さんです。

by gen-emon | 2013-09-17 14:19 | 陶工のつぶやき

濃みの技!   

2013年 08月 12日

皆さん、こんにちは

「陶工のつぶやき」5人目は、下絵付けの濃み(ダミ)の職人さん 福田 直子さんをご紹介!
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濃み(ダミ)とは、線描きした内側や外側を広く塗りつぶす事で、線描きと同じ呉須を水で薄めて濃淡を出します。
線描きの外側を塗る事を"外濃"、内側を塗る事を"本濃"と言います。
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描き筆とは違い広い面積を塗るため、たっぷり絵具を含ませられるよう筆は大きな作りになっています。
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源右衛門窯の染付"濃みの表現"に特徴があります。
下絵付けは素焼生地に絵付けをしますが、吸収性が高く、すぐ絵具を吸ってしまいムラになりやすいのです。b0289777_1039484.jpg
そのムラを一定のリズムで塗る事によって、模様のような表現をしているのが源右衛門窯の濃みの特徴です。その流れの事を『濃み足』と言います。


今、福田さんが濃みをされているのは展示所前にも置いてある『染付梅地紋』傘立てです。
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素焼きの時は完成品より約1割ほど大きいため、大物を製作する時は、またがっての作業です。絵具が流れないよう、また塗った後をこすらないよう、かなり神経を研ぎ澄まさないといけません。
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福田さんのコメント
「染付で濃みをやっていますけど、自分の思い通りにはなかなかいきません。濃みのこさや、濃み足など毎回難しいです。これからも、絵を引き立てるような濃みが出来たらと思っています。」

今日、傘立てが本窯から上がっていました。
福田さんは満面の笑みを浮かべていました(^-^)♪

by gen-emon | 2013-08-12 12:07 | 陶工のつぶやき

窯の職人   

2013年 06月 26日

今日は"陶工のつぶやき"(^。^)
職人さんの紹介は4人目です。

松永さんは窯場の担当で、施釉・仕上げ・本焼(還元焼成)をされている職人さんです。
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松永さんにコメントをお願いしたところ、沢山の説明や思いを書いて頂きました。文章からも職人としての熱意が伝わってきます(^_^)
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【松永さんコメント】
源右衛門窯は工程のほとんどが手仕事です。
成形や染付の職人さんが手がけた色々な形状や絵柄の素地を取り扱うわけですから気を使いますし責任重大です。

施釉の時は釉薬の微調整に気を配り、仕上げでは丁寧かつ慎重に作業を行ってから窯に入れます。

施釉から本焼を終える過程の中では、これで良いという決定的ながありません。
ですから、窯から焼き上がった製品を取り出してみるまでは、どのような状態になっているか不安です。それくらい磁器を焼くということは理屈や理論では計れない難しさがあり、それは何年たっても変わりません。
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私たちには常に歩留まりの向上が求められます。
もちろん100%の達成が望ましいのですが、なかなかそうはいかないのが実状です。
これからも、他のメンバー3人と協力しあって日々努力と向上心を持ち、源右衛門窯独特の呉須(紺色)の発色を最大限に引き出せるよう、仕事に取り組んでいきたいと思います。

まだ、書きたりないとおっしゃっていた松永さんですが、これからもその熱意で素敵な器たちを造っていってください(≧∇≦)

by gen-emon | 2013-06-26 13:42 | 陶工のつぶやき

ろくろ職人   

2013年 05月 23日

今日は"陶工のつぶやき" 第3弾!

「ろくろの職人さん」を紹介しま~す(^-^)
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秀さんは実はブログのプロフィール画像「水鉢」を製作された方でもあるんですよ。

今、成形しているのは”染付粟に鶉絵”のお皿です。
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ろくろ成形では素地の収縮を計算して、焼きあがりサイズより約17~18%大きく成形します。
出来上がり品と比べてみるとこんなに大きさがちがいますね(゜o゜)

ろくろ師手が命です。
手を怪我するのはもってのほか、絆創膏を貼っているだけでも成形するのに影響を及ぼし、仕事が出来なくなります。厳しい世界です(>_<)
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秀さんいわく
「ろくろで成形する器の中で皿の成形が一番むずかしいです。生地が乾燥する時や本焼きの時に収縮することを計算して造ります。皿の縁や中心部分は、焼成するときの高温でへたってしまいます。焼きあがってちょうど良い形状になるように角度を調節しながら造らないといけません。」

「現在、ロクロ成形は私を含め3人です。入窯当時はベテランのろくろ師の先輩方が5人おられ、その方達の仕事を直に見ることができ、今ではそれが私の財産となっています。昔は先輩の仕事・技をそのまま真似してもうまくいかず何度も挫折感を覚え、その技術を自分流に習得していく事に苦労しました。
今後も向上心を忘れず、大物(花瓶)・食器類・型打ち細工など、すべてにおいて更に上のレベルを目指したいと思っています。」

昔から「技(仕事)は教わるものじゃなく盗むもの」といわれるように見て技を覚えていたんですね。(°д°)

源右衛門窯のオフィシャルサイトでは、"成形(ろくろ)"をムービーで紹介していますのでご覧下さい。

by gen-emon | 2013-05-23 14:29 | 陶工のつぶやき

2人の職人   

2013年 03月 21日

今日は"陶工のつぶやき" 第2弾!
2人の職人さんの紹介をします(^.^)
なぜ2人かといいますと……?


夫婦で働いているからで~す。
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まずは新吾さんの仕事から。。。
赤絵の線描き職人で職長でもある新吾さんは、的確な指示で他の職人さんたちをまとめています。実はブログ背景の線描き風景のモデルでもあるんですよ(^。^)
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新吾さんから一言‼
「赤絵は本窯から焼きあがった製品の上に絵付けをする仕事です。本焼きをしたあとで強度があり扱い易くはありますが、油分が着いていると絵具が弾くため直接手での扱いには注意が必要です。源右衛門窯では赤絵の絵具が約40色以上もあり絵柄にあった色を使いこなしています。これからも伝統の技術を後進に伝える事が職長としての役割だと思っています。今年職長として3年目となり、技術の伝承はもちろん楽しい職場づくりをしていきたいです。」
と、職人想いなコメント☆(*^_^*)


つづいて奥さんの久美子さん。。。
久美子さんは焼き物を造る上でとても大事な、素焼き素地の検品作業を担当しています。染付の絵付けをしたり釉薬をかける前には、素焼き粉や埃が付いた素地を"さらし"で磨いて表面を滑らかにします。その後エアーで粉を飛ばし、上から"アオタケ"という青色の検査液を塗って不良個所をチェックします。割れなどがあると液が染みこみ、写真のように青い線が出てくるわけです。
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この作業で、もしヒビ割れや鉄粉などを見落とすと、その後どんなに良い絵を描いても台無しになります。その製品は割ってしまわなければなりません(T_T)
素焼きの検品は絵付師たちの縁の下の力持ち的な存在なのです!
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では久美子さんからも一言!
「製造の仕事について19年になりますが、今は素焼きのはわき作業(検品)をしています。さらしで磨く作業は思ったより力がいりますが、素焼きはもろいので力加減が難しいです。私が不良を見落とすと、その後の工程にかけた時間が無駄になってしまうので、これからも気を引き締め今の仕事を磨き上げていきたいと思います。」
なるほど~☆(*^_^*)

昔は夫婦や親子が同じ窯元で働く職人さん達が多かったそうです。時代の流れとともにその慣習も薄れ、現在の源右衛門窯でも夫婦で勤めているのは広瀬夫妻だけになり、とても貴重な存在なんです。
でも職場結婚なんて憧れますよね〜(≧∇≦)〜☆

源右衛門窯のオフィシャルサイトでは、"赤絵の工程"をムービーで紹介していますのでご覧下さい。

by gen-emon | 2013-03-21 16:13 | 陶工のつぶやき

染付の描き手職人   

2013年 02月 01日

"陶工のつぶやき"
このカテゴリでは源右衛門窯の職人さんを紹介していきます(^.^)

今日は職人さん紹介第1回目ということで、絵柄を付ける最初の工程、下絵付(染付)の描き手さんをご紹介。
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今描いているのは、"緑彩葡萄絵 碗皿"(りょくさいぶどうえ わんざら)で、源右衛門窯の代表的な色である深い染付の紺色が全体に入っています。本焼きした後、線描きした葡萄の葉や実を、上絵の透明感のある色合いの緑色で濃み(ダミ)をした、2色のコントラストが美しい器です。

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この絵柄は葡萄の線描きのをした上に上絵をのせるため、葉脈が隠れないように少し薄く緑の濃みをして柔らかな表現をしています。またカップの取っ手は、唯一紺の濃みが入っている、こだわりのある器なんですよ~(≧∇≦)
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寺田さんいわく
「染付は吸水性がある割れやすい素焼きの上に絵付けをするためやり直しが出来ません。また下絵付けは絵柄を付けるうえで一番最初の工程です。次の工程の濃みや、上絵のことまで考えないといけないので大変な仕事です。今後はこれまで培った36年間の経験をもとに、職長として職人の技術の向上と、円滑な職場環境を作れるようこれからも勉強していきます。」とのことです。
さすがです‼

源右衛門窯のオフィシャルサイトでは、"染付の工程"をムービーで紹介していますのでご覧下さい。


これから月に1,2回のペースで職人さんの紹介をしていきますのでお楽しみに~(^.^)

by gen-emon | 2013-02-01 12:56 | 陶工のつぶやき