カテゴリ:古陶磁( 2 )   

秋の古伊万里   

2014年 09月 20日

9月も半ばを過ぎ、急に肌寒くなったきましたね。
展示場に陳列している古伊万里も、秋らしく衣替え 。

日本の秋を表す花として、『菊』はマストアイテムです。
それは古来より詩歌絵画などの題材として、盛んに取り上げられてきたことからもうかがえます。今回の古伊万里、見た目は小振りな香炉ですが、なかなか見所が多いのでご紹介します。
【赤絵菊図 香炉 / 1700~1740年代 / 径8.5㎝ 高7.5㎝】
b0289777_1863237.jpg

文様については、これでもかというくらいの菊尽くしで、絵付けは有田で言う「赤絵」、標準的な表現では「色絵」技法を用いています。
胴部には群咲する小菊を赤色で描き、葉は色調の異なる2色のモヨギ(緑)絵の具を使い、葉先には所々に効果的にキビ(黄)が挿してあります。
この時代の典型的な『赤絵古伊万里の様式』です。さりげなく蝶々を飛ばすのも、いかにもな感じです。
b0289777_16422183.jpg

こちらは蓋部です。香炉では火屋(ほや)といいます。
可愛らしいハート型の煙出し孔が小さく開けてあり、全面に菊花がちりばめられて余白は赤の点描で密に埋められています。
そして、この香炉を特徴づけているのが、胴と火屋に貼り付けられた菊のレリーフです。花びらや葉の細部までこだわって作り込まれています。

香炉はもともとは仏具で、後に茶室や座敷の床の間を飾るインテリアとして発展したので、お約束的に三足のものが多いのですが、これには足がありません。
そのために普通の香炉のような和風感が無く、製作年代とのからみから見て、ヨーロッパ向けの輸出品可能性も考えられます。

2009~2010年にかけて全国各地で開催され好評を博した「パリに咲いた古伊万里の華」展で、輸出古伊万里の大型蓋壺『ポプリポット』として使用した例が紹介されていました。この香炉もヨーロッパの貴族がポプリの香りを楽しんだのかもと想像すると、古伊万里のロマンは豊かに広がります。

by gen-emon | 2014-09-20 12:00 | 古陶磁

暑中見舞い   

2014年 08月 01日

皆さん こんにちは
今日から8月、夏真っ盛り。毎日暑い日が続いていますが、熱中症には十分注意してくださいね。

さて、弊窯では毎年の年賀状暑中見舞いに、併設の『古伊万里資料館の所蔵品』を掲載してお出ししています。年賀状には干支にちなんだものやお目出度い図柄を、暑中見舞いには涼感を感じさせるものを選んでいます。

ということで、今年の暑中見舞いに登場したのが、この「染付和蘭船図 碗」で、サイズは直径約13.5㎝、高さ5.5㎝ほどの小振りな器です。けっこう薄手で、キリッとした作です。製作されたのは1820~1850年代、和暦では文化文政期ころにあたります。
b0289777_1755954.jpg

余白を活かした動きのある構図で、帆走する和蘭船が描いてあります。
甲板には海図に見入る船員の姿もみられ、ディテールまでよく描き込まれています。
この時代には珍しい西洋の風俗を表した器が多く作られましたが、それを欲する需用者のニーズに即したものと考えられます。ちなみに、この図柄のオリジナルは長崎土産として当時人気のあった「長崎版画」と思われます。
b0289777_176967.jpg

一方、側面には満帆の和船が線画きだけでさらりと描かれています。しかしその腕前は確かです。本作の魅力は、この粗密と和洋の対比の面白さに尽きます。作者のセンスにリスペクトです。

今回紹介した所蔵品「染付和蘭船図 碗」は8月いっぱいまで展示所に飾っていますので、ご来窯の際は是非ご覧になってください。

※これからも時々、弊社の古伊万里資料館の収蔵品を、解説を交えてご紹介していく予定ですので、お楽しみに。

by gen-emon | 2014-08-01 12:00 | 古陶磁